※本稿は旧ウェブサイトからの転載となります。2020年のコロナ禍に、小中高校生向けに書かれたものになります。今後必要に応じて適宜修正を施していく場合があります。
こんにちは、またはこんばんは、コボナビ編集部です。
このページを訪れてくれて、まずはありがとうございます。
3月2日から実施された臨時休校も、今週には解除の見通しがでてきました。
ここまでの約3週間、どんな風に過ごしてきましたか?
勉強、しました?
(してなくても、まあほんとはよくないですけど、とりあえずよしとしましょう)
勉強した人もしてない人も、これだけ長い期間休みがあったわけですから、何かひとつくらい得るものを得て、成長して学校に戻りたい。
そんな気持ちないですか?
みなさんにはあまり身近な方ではないかもしれませんが、プロ野球選手/メジャーリーガーの松井秀喜さん、マラソンの金メダリスト 高橋尚子さんが選手時代(もちろん今現在も、かもしれませんが)に大切にしてきた言葉に、
「何も咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」
というものがありました。
意味としては、たとえばバスケット部やバレー部の生徒が、体育館を使えないようなときでも、サッカー部や野球部の生徒がグラウンドを使えないときでも、もちろんそのほかの運動部や、運動部に限らず文化部でもなんでもいいのですが、本来の場所で思うような活躍や練習ができなくても、その成果に繋がる努力はできるはず。
みなさんにとってはそんな感じで受け取ってもらえればいいのではないでしょうか。
で、どんな「根」をここで伸ばしてみるか、なんですが、思い浮かべてみてください。
「『こんなテーマで作文を書きなさい』と言われてわずか30分、ほかの友達が1行も書き出していないなか、原稿用紙3枚もの長さの作文をささーっと書いて席を立ちスマートに先生に提出」。
こんなストーリーはどうでしょうか。
難しく覚えなければならないことは(基本的には)ひとつもありません。
この文章が全100回に渡るもので、しかもその一回一回が100億スクロールぐらい長大な文章で表やグラフを使って解説し…なんてこともありません。
たった全2回に渡るこのコラムを読み通していただければ、皆さんがもっている作文への苦手意識はたぶんちょっとでも前向きなものに変わって、原稿用紙に向かう態度ががらっと変わってしまうかもしれません。
読む長さも、休校の時間をだらーっとなにもせずに過ごしてしまうことに比べたら、あっという間のものだと思います。
ぜひ、ジブンを変える旅へと、身を投じてみてください。
前置きが長くなりましたが、この第1回は「苦手イシキ払拭編」。
払拭(ふっしょく)とは、「拭い去る(ぬぐいさる)」といった意味合いの言葉ですね。
たとえば、跳び箱が苦手な人が飛べるようになるためには、ちょっとでも「飛べるはず」って思わないと、飛べるようになるにはならないと思うんです。
作文も同じ、いや、もしかすると跳び箱以上に「書けるはず」って思うのが難しいことなのかも知れません。
まずはその苦手イシキを「払拭」してみましょう。
おそらく「書けない」のではなく、「書き出せない」だけのはず
※上の見出しを見て、「うわ、こいつやっぱりこういうこと言い出したわー」とか思う人もいるかもしれませんが、まあ読み続けてみてください。
私、本企画担当は大学時代に3年半近く、個別指導塾の先生をやっていました。
ふつう大学生というのは3年生の後半にもになると「就職活動」というものが始まり、忙しくなってそうしたアルバイトは控えめになる人が大半なのですが、自分は4年生になってからもずっと先生をやってました。
楽しかったんでしょう。
結局就職もそのまま教育系のものに就いて、20代は教育サービスの中に身を置き、教育というものに向き合うことになります。
いろんな生徒さんと顔を突き合わせましたが、文系・理系(小学生・中学生の方はまだ知らないかもしれませんが、高校生になると大学で勉強したい分野に合わせて文系・理系というコース的な選択をすることになります)に関わらず、作文に苦手意識を持つ人は少なくなかったように思います。
でもこれってだいぶもったいない、というか、大分「まずい」ことなんです。
みなさんたとえば、学校を卒業すれば作文はなくなる、なんて思ってませんか。
そんなことまるでないのですよ。
大学(これも学校ですが)に入ればレポートやらなんやらで文章を書きますし、社会人になっても報告書やらなんやらありますし、仕事のやりとり主体がメールです、なんてこともすくなくないわけで、そういう意味では文章力は「学校」が終わってからもついて回るのです。
で、学校を卒業すれば自然に「書ける」ようになる? かといえばそんなこともなくて、学生時代に「文章ニガテ」な意識を持ってしまった人はそれずっとひきずったまま、社会人生活を送っていく人が多いと思います。
そんなわけで、作文に対する苦手イシキはなるべく早いうちになくしてしまうに越したことはないですし、できます。
話を戻しましょう
大学で個別指導の先生をしていた頃に、ショウジくんという中学生の男の子と出会いました。
その塾には1年生の頃から通っていましたが私が担当するようになったのは2年生の頃からで、まあわりとやんちゃな子で手を焼く(←ここでは教えるのに苦労する、といった意味です)部分もありましたが、なんとなくウマが合った(相性がよかった的な意味合いで捉えてください)のか、そのまま中学を卒業して塾をやめるまで担当していました。
ある日のこと、ショウジくんは机にやってくるなりぶわっさーと腕で顔を覆い席に座って突っ伏してしまいました。
「どないしてん」と聞くと(舞台は関西です)、
「今日な、学校で遠足の作文あってな、書けへんかってん」とのこと。
すっと居残りで書かされていたそうで、それでも3行しか書けなかった、とのことでした。
予想はつきます。おそらく題名を1行目、年組と名前を2行目として認識し、3行目に「今日は遠足でした。楽しかったです。」と書いて終わらせて、それを「3行書いた」と言っているのです。
果たして、そうでした。
極めて正確には、それは1行しか書いてない、というのですが、こういうとき彼は決まってしれーっとした態度でこちらの反応を伺って楽しむところがありました。
「自分文章書けへんねんなーw」と、最初から「文章を書ける自分」をイメージしていませんでした。
まあそれは仕方がないのですが(書けると思ってない子に書けと言って書けるわけがない、というのが私の持論です。ショウジくんのようなタイプの子なら、それはなおさらでしょう)、しかし、ここからこちらが切り出した話は、彼の意表を突いたようです。
実は、ここから(ほんとは英語の授業だったのですが)私が彼に話したことが、今回この回で皆さんに話したいこと、そのものなのです。
ショウジくんを騙(だま)し討ちする一部始終
私「自分、ポケモン好きやんな」
シ「うん」(彼はゲーム大好きなのです。そして「作文や授業以外のこと」に話が逸れたと思って、しめしめと実は思っています)
私「何が好き?」
シ「は?」
私「オレポケモンやったことないんよ。ポケモンのなにがおもろいん?ピカチュウくらいしかしらないんだけど、ほかに好きなポケモンとかおるの?」
彼は、ポケモンがどんなにおもしろいか、お気に入りのポケモンはなにか、どこが気に入っているか、そしてさらに聞かれてもいないのにピカチュウがどれだけ可愛いかを熱っぽく語りだしました。
私「(一通り聞いて)ほうほう、ほんならさ、逆に嫌いなとこある? やっててムカついたこととか、この敵がムカついたとか、友だちとのやりとりで嫌な思いしたとかさ」
もちろんこちらについても熱っぽく語ってくれます(皆さんもちょっとポケモンや、ポケモンでなくても思い入れのあるものについて、それがどうして好きなのか、逆に嫌に思った部分、うんざりした部分などを思い浮かべてみてください)。
ちなみに彼は、たしかゲームそのものについては嫌な部分はまったくなかったけれど、あの敵が強くて何回も死んだわーとか、そんな話をしてくれた記憶があります。
さて、一通り話を聞き終わりました。
私は彼に向き直り、彼が話した「ポケモンの好きなところ」「嫌いなところ」を箇条書きにしたメモを差し出して、こう言います。
私「これをさ、さっき話してくれたみたいに全部つないで作文にしたら原稿用紙3枚ぐらいいくよな」。
「自分文章書けへんねんなーw」と言っていた彼の、「うわ この人ダマしよったわ」という言葉を思い出すたびニマニマします。基本的に生徒をこうした「ワナ」に誘(さそ)い込んで勉強させるのが大好きなもので。
私は私で、「ダマしてなんかないわ、むしろショウジくんが自分で自分を書けないってダマしてるだけやろ」と切り返します(ちなみに、こんな風に言えるのはそれなりにこの子と時間を過ごしてきてこういう言い方をしても大丈夫だろうという判断があってのことです。また彼を責めてはいません。責められているという認識も彼にはないはずです)。
ショウジくんは黙って前を見つめています。黙って前を見つめていますが、腐(くさ)っているわけではなくて、こういうときはしっかりと自分を顧(かえり)みられる子なのです。そういう部分はすごく真っ直ぐで、いい子でした。
シ「いや、でも遠足で嫌いとか書いたらまずいんちゃう」
たしかに。
私「先生にもよると思うけど、まあ書かないほうが無難だと思う。ただまあ、ここで言いたかったのは、いろんな思ってること引っ張り出してみれば、あとは書くだけで、そんなに難しくないんちゃう?ってことなんだわ。まずはそこからなんじゃないかーって思うんだけど」。
ここで、この会話は終わり。本来の、予定通りの英語の授業へ入っていくことになります。
「書かなければいけないこと」を、しばり過ぎてないか
冒頭(ぼうとう。最初のほう)の繰り返しになりますが、今回のお話の目的は「書けない」という苦手イシキを払拭してもらうことです。
具体的に作文にどう取り組むかについては第2回(なるべく1日空けずにアップしたい…)に回しますが、どうですか、皆さんの作文に対する苦手イシキは、すこしでも変わったでしょうか。
ショウジくんが疑問(ぎもん)を投げかけていた通り、たとえば「遠足」やその他の学校のイベントで作文を書きなさいと言われ、「私は遠足のここが嫌いだあ!!!!」と叩(たた)きつければ、それはそれで(いろんな意味で)問題になるでしょう。
それを許容してくれる先生もいるかもしれませんが、まあやめといたほうが無難(ぶなん)です(ただ、こんなことは言ってはいけないのかもしれませんが、もし「そう書かなければいけない」と思い込んでいる人がいるとしたら、べつに「楽しかった」と最後に決まり文句のように書く必要もないと私は思います)。
ここで大事なのは「切り口」の問題で、遠足なら遠足で、どういう切り口で書き出すかによって書けることはいくらでも出てくるはずなんです。
原稿用紙3枚分、あるいはそれ以上の文を30分くらいでささーと書いて、驚くべき速さで先生のところへ持っていく。どこのクラスにもそんな生徒さんがいるはずですが、そういう人たちは、そうした「切り口」の見つけ方が上手い、あるいは慣れている。
そういうことなんだと、いまの私は思います(ちなみに私自身、小中高一度たりとて満足に作文を書き上げた経験はありません。ショウジくんとおなじように「3行」書いて出したこともあります。どうしてもそれしかできなかったんですよね)。
「だからその切り口とかいうのがわかんないんだってば!」という人がもしいたら、それも大丈夫。
さきほどの「どう取り組むか」の中にその切り口のお話も入っていますので、第2回でお話したいと思います。
いまはただ、「自分にも書けるかも」と、ちょっとでも思ってもらえたら、このお話はとりあえず大成功です。
というわけで、今日はここまで。
次回も読んでくれたら、嬉しく思います。
ではでは( ˙꒳ ˙ )ノシ。
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